🌱 ECHO SERIES 🌿
〜 E-15 〜

『静けさの図書館とセンサーの灯』

🌱 プロローグ:静けさの偏り
結衣は市民図書館の司書だ。新しく設置された空間センサーが、館内の温度や騒音だけでなく「滞在の偏り」まで示すようになった。表示は淡い地図で、青は静けさ、赤はざわめき。毎日同じ場所が赤く、同じ場所が青い。
💬 「静かな場所に、静かな人が集まるのは当然なのに」
結衣は、その偏りが誰かの居場所を狭めているように感じた。
🌱 第一章:数字の裏側
センサーの画面には、いつも空いている座席がある。窓際の小さな机。光は良いのに、利用率は低い。
結衣は実際に座ってみた。外の道路の音が、机の背後から回り込んでくる。耳が疲れる。静けさは、見えない角度で壊れていた。
💬 「データは正しい。でも、理由までは書いてくれない」
結衣は、利用者の声を聞こうと決めた。
🌱 第二章:小さな声の地図
結衣は手書きのメモを用意し、受付で短い問いを伝えた。
「居心地の良い場所と、落ち着かない場所を教えてください」
返ってきた答えは細い線のようだった。
「窓際は車の音が強い」「奥は暗くて不安」「入口付近は人の流れが多い」
センサーの色と、人の言葉が少しずつ重なる。
結衣は、青い場所を増やすのではなく、赤い場所の理由を減らすことを選んだ。
🌱 第三章:灯を移す
結衣は大きな改装をせず、小さな変化を積み重ねた。
窓際に音を吸う布を追加し、入口の椅子の向きを変え、暗い棚に柔らかな照明を足した。
センサーの地図は、少しずつ色を変えた。
赤が薄くなり、青が広がる。
ある日、窓際の机に、小学生が二人並んで座っていた。
一人が辞書を開き、もう一人が図鑑のページを指でなぞっている。
結衣は、声をかけずにその光景を見守った。
🌿 エピローグ:静けさの回路
💬 「静けさは、音の少なさじゃない。落ち着ける回路だ」
結衣はそう思うようになった。センサーは地図を描くが、回路をつくるのは人だ。
図書館の灯は小さく、静かだ。けれど、それは誰かの足を止め、言葉を呼び、未来につながる。
結衣は今日も、センサーの画面と、人の声のあいだで灯を調整している。
🌱 Echo Series – E-15 🌿
テクノロジーと人が響き合う未来へ…