【A-06】失われた島の記憶
kome
🌊 AQUARIA SERIES 🌊
〜 A-06 〜
💬 「『霧の海』のチャートによると、このあたりに古い島があったはずなんですけど……」
私は『青の翼号』をホバリングさせながら、ソナー画面を覗き込んだ。
前回の冒険で星クジラが教えてくれた座標。そこは、一年中濃い霧に覆われた未開拓の海域だった。
前回の冒険で星クジラが教えてくれた座標。そこは、一年中濃い霧に覆われた未開拓の海域だった。
💬 「地形データと照合します。……一致しました。マリン、真下を見てください」
ドルの指示で、下方カメラの映像をメインモニターに映す。
霧の切れ間から覗く海中。そこに、確かに「それ」はあった。
霧の切れ間から覗く海中。そこに、確かに「それ」はあった。
💬 「家……? それに、学校?」
透き通るような青い海の中に、静かに沈む集落。
色とりどりの屋根、広場にある時計台、そして子供たちが遊んだであろう遊具。
それらは苔むし、魚たちの住処になっていたけれど、間違いなくかつて人々が暮らしていた場所だった。
色とりどりの屋根、広場にある時計台、そして子供たちが遊んだであろう遊具。
それらは苔むし、魚たちの住処になっていたけれど、間違いなくかつて人々が暮らしていた場所だった。
💬 「ここは『サンセット・アイル』。約50年前、急激な海面上昇によって、全島民が避難を余儀なくされた島です」
ドルのデータベースからの情報。
50年前……まだ私のおじいちゃんたちが若かった頃。
アクエリアの海面は今よりずっと低く、もっと多くの島があったという。
でも、環境の変化——温暖化による極冠の氷解——で、多くの土地が海に飲み込まれた。
50年前……まだ私のおじいちゃんたちが若かった頃。
アクエリアの海面は今よりずっと低く、もっと多くの島があったという。
でも、環境の変化——温暖化による極冠の氷解——で、多くの土地が海に飲み込まれた。
💬 「綺麗……でも、少し寂しいね」
私は操縦桿を倒し、沈んだ町並みへと潜行していった。
窓の外を、カラフルな魚の群れが通り過ぎる。まるで、かつての住人たちの賑わいを再現するように。
窓の外を、カラフルな魚の群れが通り過ぎる。まるで、かつての住人たちの賑わいを再現するように。
今回の依頼主は、浮遊都市の老人ホームに住むお婆さん、エレナさんだ。
『私の故郷に、宝物を埋めてきたの。生きているうちに、もう一度だけそれを見たくて』
彼女が託してくれたのは、広場の大きな木の下を示す古い地図と、錆びついた鍵だった。
『私の故郷に、宝物を埋めてきたの。生きているうちに、もう一度だけそれを見たくて』
彼女が託してくれたのは、広場の大きな木の下を示す古い地図と、錆びついた鍵だった。
💬 「目的地周辺です。あの大きな木の根元……今はサンゴに覆われていますが、空洞反応があります」
💬 「わかった。アーム操作、慎重にね」
🐬 『青の翼号』のマニピュレーターが、サンゴを傷つけないように優しく砂を払う。
すると、金属製の頑丈そうな箱が現れた。
タイムカプセルだ。
すると、金属製の頑丈そうな箱が現れた。
タイムカプセルだ。
💬 「回収完了。船内で開封しますか?」
💬 「ううん、エレナさんに届けるのが仕事だから。でも……」
私は箱の表面に刻まれた文字を見た。
『未来の私たちへ。愛するサンセット・アイルの記憶をここに残す』
『未来の私たちへ。愛するサンセット・アイルの記憶をここに残す』
その時、船の通信機にノイズが入った。
『ザザッ……こちら……サンセット……放送局……』
『ザザッ……こちら……サンセット……放送局……』
💬 「え!? ラジオ?」
💬 「微弱な電波を受信しています。発信源は……時計台の下!」
まさか、無人の、しかも海に沈んだ島から?
私は急いで時計台へと向かった。
そこには、防水カプセルに入れられた、古い放送機材があった。
そして、その電源ランプが、微かに、でも確かに点滅している。
私は急いで時計台へと向かった。
そこには、防水カプセルに入れられた、古い放送機材があった。
そして、その電源ランプが、微かに、でも確かに点滅している。
💬 「太陽光発電パネルが生きているようです。50年間、ずっと自動放送を続けていたんですね」
ラジオからは、当時の島民たちの声が流れてきた。
🐬 『今日はいい天気だねぇ。今年の祭りは盛大にやるぞ!』
『見て見て、新しいドレス! お母さんが作ってくれたの』
『サンセット合唱団、練習始めまーす!』
『見て見て、新しいドレス! お母さんが作ってくれたの』
『サンセット合唱団、練習始めまーす!』
笑い声、歌声、波の音、風の音。
そこには、確かに「生活」があった。
そして、最後にあるメッセージが流れた。
そこには、確かに「生活」があった。
そして、最後にあるメッセージが流れた。
🐬 『私たちは島を離れるけれど、思い出は消えない。いつか誰かがこれを聞いて、私たちがここで幸せに暮らしていたことを知ってくれたら……私たちの島は、永遠に生き続ける』
涙がこぼれた。
海に沈んでも、彼らの「生きた証」は色褪せていなかった。
海に沈んでも、彼らの「生きた証」は色褪せていなかった。
💬 「ドル、この放送……録音できる?」
💬 「もちろんです。デジタルリマスター処理をして、クリアな音質で保存します」
💬 「お願い。これも、エレナさんへの最高のお土産になるわ」
私はタイムカプセルと、50年分の放送データを抱えて、海面へと浮上した。
後日、エレナさんの元へ荷物を届けると、彼女はシワだらけの手で箱を撫で、ラジオの音声を聞いて、子供のように泣きじゃくった。
箱の中身は、島のみんなで撮った集合写真と、当時の子供たちが書いた「未来の自分への手紙」だった。
箱の中身は、島のみんなで撮った集合写真と、当時の子供たちが書いた「未来の自分への手紙」だった。
💬 「ありがとう、マリンちゃん。おかげで、私の時間はまた動き出したわ」
エレナさんは、写真の中の若い自分と、仲間たちを指差して微笑んだ。
その笑顔は、かつてのサンセット・アイルの夕陽のように、温かく輝いていた。
その笑顔は、かつてのサンセット・アイルの夕陽のように、温かく輝いていた。
💬 「あ、そうだ。手紙の中に、こんなものも入っていたの」
エレナさんが見せてくれたのは、一枚の古いメモ。
そこには、私たちが見つけた『青い封筒』と同じ文様と、不思議な一文が記されていた。
そこには、私たちが見つけた『青い封筒』と同じ文様と、不思議な一文が記されていた。
🐬 『海が全てを飲み込む前に、賢者たちは北の氷壁に知識の塔を隠した』
💬 「おじいちゃんがよく言ってたの。北には世界の秘密が眠ってるって」
北の氷壁。
私の心臓が高鳴る。
沈んだ島が教えてくれた、新たな手掛かり。
私の心臓が高鳴る。
沈んだ島が教えてくれた、新たな手掛かり。
💬 「次は北極圏だね、ドル」
「寒冷地仕様への換装が必要です。予算オーバーですよ、マリン」
「そこをなんとかするのが相棒でしょ?」
「寒冷地仕様への換装が必要です。予算オーバーですよ、マリン」
「そこをなんとかするのが相棒でしょ?」
私たちは顔を見合わせて笑った。
失われた記憶は、決して消えない。誰かが受け継ぐ限り、それは次の未来への道標になるのだから。
失われた記憶は、決して消えない。誰かが受け継ぐ限り、それは次の未来への道標になるのだから。
🐚 Aquaria Series – A-06 🐚
惑星アクエリアの冒険は続く…