📕 HUMAN SERIES 📖
〜 H-07 〜
『終バスと回らない整理券』
📕 第一章:終点前
終バスの時間は、街の息が細くなる時間でもある。
運転手の修一は、いつものように整理券機を確認した。
番号がひとつ、進んでいない。
💬 「さっきの停留所で、誰かが取らなかったのか」
修一は小さく首を振った。気にするほどではない。
そう思ったが、心のどこかで引っかかっていた。
📕 第二章:一枚の席
車内は静かだった。
窓際に、一人の女性が座っている。
手には小さな封筒。
修一はミラー越しに、その手元を見た。
封筒の角が、雨に濡れて少しふやけていた。
💬 「今日は雨か」
つぶやきが、車内に吸い込まれる。
📕 第三章:降りる場所
終点が近づく。
女性は立ち上がり、運賃箱の前で一瞬だけ迷った。
💬 「整理券、ありませんか?」
修一が静かに訊くと、女性は首を振った。
💬 「取り忘れました。…いいですか」
修一はうなずいた。
「大丈夫です。次から気をつけてください」
女性は封筒を握り直し、深く頭を下げた。
📖 終章:回る番号
バスが折り返すと、整理券の番号はいつも通りに進み始めた。
修一はそれを見て、少しだけ肩の力を抜いた。
一枚の整理券が足りないだけで、街の終わり方が違って見える。
人はそれぞれに、理由がある。
修一はハンドルを握り直し、次の夜へ向かった。
📕 Human Series – H-07 📖
人と人をつなぐ、小さな物語…