🎵 SOLARIS SERIES ✨
〜 S-07 〜

『氷の風鈴と双子星』

🎶 第一章:絶対零度の迷路
エチュード島を抜け、一行は「氷の渓谷(フローズン・バレー)」へと足を踏み入れた。
ここは年中凍りついた浮遊島だ。
巨大な氷柱が乱立し、まるで天然の迷路のようになっている。
✨ 「さぶっ……」
リオンはコートの襟を立てた。
ピコは寒さに弱いのか、ボディを発熱させてリオンの懐に入り込んだ。
猫のミミだけが平気そうで、雪の上を元気に跳ね回っている。
💬 「ミミ、あまり遠くに行くなよ!」
リオンが叫んだとき、キーン……という鋭い音が響いた。
まるでガラスが割れるような、それでいて澄んだ音色。
ミミが耳を立て、その音の方向へ走り出した。
🎶 第二章:凍った祭具
追いかけた先には、壮大な「氷のシャンデリア」ぶら下がっていた。
無数の氷柱が糸で吊るされ、風に揺れている。
それは自然現象ではなく、明らかに人工的に作られた「楽器」だった。
💬 「これは……『星祭りの風鈴』か」
リオンは古い文献で読んだことがあった。
かつてソラリスには、二つの太陽(双子星)が重なる「蝕(エクリプス)」の日を祝う祭りがあった。
その時に奏でられるのが、この巨大な風鈴だ。
しかし、今は凍りついて動かない。
中心部の回転軸が、分厚い氷に閉ざされている。
✨ 『ピコ?(回せばいいの?)』
ピコが顔を出す。
「ああ。でもただ回すだけじゃダメだ。双子星の角度に合わせて、光を反射させながら回さないと、音が出ない仕組みなんだ」
今日は偶然にも、双子星が接近する日だった。
空には、赤と青、二つの太陽が輝いている。
🎶 第三章:光と音のワルツ
✨ 「やるか。ミミ、そこをどいててくれ」
リオンは音叉を取り出した。熱を発生させる周波数は……C#(ドのシャープ)だ。
「ピコ、僕の音を熱変換して、あの軸を狙え」
✨ 『ピコッ!』
リオンが音叉を叩く。
ピコが赤色レーザーのような光を放ち、氷の軸を一点集中で温める。
ジュッ……!
氷が溶け、水蒸気が上がる。
カコン。
氷柱の一つが動いた。
「今だ! 回せ!」
リオンは落ちていた棒を使って、風鈴の土台を押し回した。
✨ 氷柱が回転し、双子星の光をキャッチする。
キラキラと乱反射する光が、周囲の氷壁を照らす。
そして、チロリン……チロリン……と、この世のものとは思えないほど美しい音色が流れ始めた。
それはワルツのリズムだった。
かつての人々が、この音に合わせて踊っていた光景が目に浮かぶようだ。
🎹 終章:解けた心
🎵 音色が渓谷に満ちると、不思議なことが起きた。
周囲の鋭い氷柱たちが、熱もないのに溶け始め、角が取れて丸くなったのだ。
「音が、世界を柔らかくしている……」
✨ 『ピコ~(うっとり)』
ピコも光の色を目まぐるしく変えて、音楽に合わせて漂っている。
ミミも尻尾を揺らして、リオンの足元でステップを踏んでいるようだ。
💬 「いい祭りだな」
リオンは空を見上げた。
双子星が寄り添い、一つの紫色の太陽に見える。
その光の下で、氷の風鈴は、誰もいない(いや、三人の観客がいる)会場のために、ずっと忘れられていた祝祭の歌を奏で続けた。
寒さはもう、気にならなかった。
音の温もりが、彼らを包み込んでいたから。
🎹 Solaris Series – S-07 🎶
音の旅は続く…