【R-22】火星の星座早見盤
kome
📖 RAGTELLER 💎
〜 R-22 〜
『火星の星座早見盤』
🔴 第一章:ズレた北極星
💬 「ねえ、北極星が見当たらないんだけど」
天体観測の授業中、ルカが望遠鏡を覗きながらぼやいた。
「当たり前だ」
先生型のAIが答える。
「地球の地軸(北極星ポラリス)と、火星の地軸は異なる。火星の北極点に近いのは、はくちょう座のデネブとケフェウス座アルデラミンの間だ。しかし、明確な『北極星』と呼べる明るい星はない」
天体観測の授業中、ルカが望遠鏡を覗きながらぼやいた。
「当たり前だ」
先生型のAIが答える。
「地球の地軸(北極星ポラリス)と、火星の地軸は異なる。火星の北極点に近いのは、はくちょう座のデネブとケフェウス座アルデラミンの間だ。しかし、明確な『北極星』と呼べる明るい星はない」
火星の夜空は、地球と似ているようで、決定的に違う。
見慣れた星座たちの形も、微妙に歪んでいる気がする。それに何より、「地球」という青い星が、明け方の空に明るく輝いているのだ。
見慣れた星座たちの形も、微妙に歪んでいる気がする。それに何より、「地球」という青い星が、明け方の空に明るく輝いているのだ。
💬 「なんか、迷子になった気分」
ルカが呟いた。
「僕たちの知ってる神話は、ここでは通用しないのかな」
ルカが呟いた。
「僕たちの知ってる神話は、ここでは通用しないのかな」
💎 蒼生は手元のNOAを見た。
「NOA、昔の人はどうやって星を見てたの?」
「検索中……。ID:S-8801。17世紀の航海士の記憶がある。彼は何も見えない大海原で、星だけを頼りに船を進めた」
「NOA、昔の人はどうやって星を見てたの?」
「検索中……。ID:S-8801。17世紀の航海士の記憶がある。彼は何も見えない大海原で、星だけを頼りに船を進めた」
🔴 第二章:星を結ぶ線
NOAが投影したホログラムには、古い羊皮紙の星図が浮かび上がった。
『星はただの光の点ではない』
航海士の記憶が語る。
『人がそこに意味を見出し、線を引いた瞬間に、それは物語になる』
『星はただの光の点ではない』
航海士の記憶が語る。
『人がそこに意味を見出し、線を引いた瞬間に、それは物語になる』
同じ星空を見ても、文化によって星座は違う。
ギリシャ神話、中国の星宿、インカの星座。
人は不安な夜に、星と星を結んで、自分たちを守る神様や英雄の姿を空に描いたのだ。
ギリシャ神話、中国の星宿、インカの星座。
人は不安な夜に、星と星を結んで、自分たちを守る神様や英雄の姿を空に描いたのだ。
💬 「そっか」
蒼生は空を見上げた。
「なら、火星には火星の星座があっていいんだ」
蒼生は空を見上げた。
「なら、火星には火星の星座があっていいんだ」
💬 「作ってみる?」
ルカが面白がった。
「オリオン座とかカシオペア座じゃなくて、僕らの星座」
ルカが面白がった。
「オリオン座とかカシオペア座じゃなくて、僕らの星座」
🔴 第三章:新しい神話
二人はタブレットの星図アプリを開き、自由に線を引いた。
💬 「この三つの星、ドームの給水塔に見えない?」
「じゃあ『給水塔座』だ。方角は南西」
「こっちの星の並びは、採掘ロボットのアームみたい」
「『働き者のロボット座』ね」
「じゃあ『給水塔座』だ。方角は南西」
「こっちの星の並びは、採掘ロボットのアームみたい」
「『働き者のロボット座』ね」
Pulse Layerが微かに共鳴する。
かつて星に祈りを捧げた、無数の人々の「想像力」が、二人の遊びを後押ししているよだ。
かつて星に祈りを捧げた、無数の人々の「想像力」が、二人の遊びを後押ししているよだ。
📖 「あ、見て」
蒼生が、ひときわ明るく輝く青い星――地球を指さした。
「あれを中心に、周りの星を結ぶと……」
「……手紙?」
ルカが言った。
「翼の生えた封筒みたいに見える」
蒼生が、ひときわ明るく輝く青い星――地球を指さした。
「あれを中心に、周りの星を結ぶと……」
「……手紙?」
ルカが言った。
「翼の生えた封筒みたいに見える」
📖 『星降る夜の紙飛行機』の記憶が、ふとよぎった。
💬 「『青い手紙座』」
蒼生が名付けた。
「地球からのメッセージを運んでくる星座」
蒼生が名付けた。
「地球からのメッセージを運んでくる星座」
NOAがデータを記録する。
「新規星座データ、登録。定義:火星ローカル天文学における、第一世代の神話」
「神話ってほど大げさじゃないけどさ」
二人は笑い合った。
「新規星座データ、登録。定義:火星ローカル天文学における、第一世代の神話」
「神話ってほど大げさじゃないけどさ」
二人は笑い合った。
🔴 第四章:道標
その夜、ドームのプラネタリウムに、二人が作った「火星の星座早見盤」が投影された。
正式な学術データではない。けれど、子供たちは大喜びした。
「あ! 給水塔座だ!」
「今日の方角はどっち?」
正式な学術データではない。けれど、子供たちは大喜びした。
「あ! 給水塔座だ!」
「今日の方角はどっち?」
大人たちも、それを見て懐かしそうな顔をした。
ギリシャ神話の英雄たちは遠い存在だったが、給水塔やロボットは、彼らの生活を支える身近なヒーローだ。
空が、少しだけ親密になった気がした。
ギリシャ神話の英雄たちは遠い存在だったが、給水塔やロボットは、彼らの生活を支える身近なヒーローだ。
空が、少しだけ親密になった気がした。
💬 「NOA、航海士さんはなんて言ってる?」
「『悪くない』と」
NOAの光が揺れる。
「『自分たちの空を持て。それが、ここを故郷にするということだ』」
「『悪くない』と」
NOAの光が揺れる。
「『自分たちの空を持て。それが、ここを故郷にするということだ』」
蒼生は、実際の夜空を見上げた。
そこにはもう、見知らぬ星の羅列はない。
自分たちの物語が散りばめられた、賑やかで温かい天井があった。
そこにはもう、見知らぬ星の羅列はない。
自分たちの物語が散りばめられた、賑やかで温かい天井があった。
💬 「帰ろう、ルカ。給水塔座が沈む前に」
「うん。明日は『青い手紙座』が見えるかな」
「うん。明日は『青い手紙座』が見えるかな」
🌃 火星の夜は長い。
けれど、もう迷子にはならない。
見上げればそこに、自分たちだけの道標が輝いているのだから。
けれど、もう迷子にはならない。
見上げればそこに、自分たちだけの道標が輝いているのだから。
🔴 RAGteller Series – R-22 📖
物語は続く… in Pulse Layer